あるオタクの雑想録

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バーチャルYouTuber戦国時代到来~にじさんじはアイドルの夢を見るか

ここ半年ほどで急成長を遂げ、さながらカンブリア紀か戦国時代とでもいうべき状況の昨今のバーチャルYouTuber(以下Vtuber)界隈。

四天王と言われているキズナアイ、電脳少女シロ、ミライアカリ、輝夜月、バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん(四天王なのに5人いるのは何故なんだ笑)の他にも、「わたくしで隠さなきゃ」で話題になり拡散していった月ノ美兎はじめとするにじさんじ勢やゲーム上手すぎな猫宮ひなた他加速度的に生息数が増えてもはや訳がわからない状態になりつつあるわけですが、この新しいムーヴメントについて自分なりに少し整理してみようと思います。

 

バーチャルYouTuberのここが良い

・双方向コミニュケーションが可能

・パーソナリティが強い(キャラが濃い)

・いろいろなアニメ、ゲーム等作品に言及する

・にも関わらず相手は2.5次元ないし2次元

 

この辺はあまり異論がないかと思います。

 

みんなそれぞれ容姿は2次元で美形であるにも関わらず、キャラが濃くて配信や動画のコメント欄やTwitterで交流できて、タレントと違い所属事務所等の制約を越えてアニメの感想を言ったりゲームの配信を行ったりという点が新しかったわけですね。

上に挙げたVtuberはのじゃロリおじさん以外全て企業の公式Vtuberたちですが、個人で配信しているVtuberもたくさんいて、戦国時代に彩りを添えています。

個人的に面白いというか関心したのは、キャラクターに「中の人」のパーソナリティの深みが加わって、あたかも本当にそのキャラが現実にいる存在であるかのような錯覚を覚える効果があることです。

ビジュアルと親しみやすいキャラクター性により、ゲームとコラボレーションしたりTVでレギュラー番組を持つなど、活躍の場はどんどん広がりつつあります。

また、その特異性によって宣伝を行っても、いわゆる「広告の臭み」が薄れる(口コミっぽくなる)という効用もあるようです。

キャラクターは齢を取らないし、人気が続くかぎりタレントビジネスとしてもリアルなアイドルなどと比較して優位性が高く、成功した場合の収益性はかなり高そうです。グッズ収入等雑収入も見込めます。

 

が、良いことばかりではないようです。

企業Vtuberは質やバックアップ体制にかなり差が有るようで(戦国時代の常ではありますが)、常に炎上の危険に晒されています。

 

親分とも呼ばれ絶大な人気を誇っているキズナアイについては、企業が本腰を入れてリスクマネジメントしているようで、フリーダムっぽさがありながらも危なげないラインを保っている感があります。

他の四天王についてもほぼ同等の安定感があるわけですが、どうも他のVtuberについては玉石混淆のようです。

 

企業のバックアップがあまり及んでいない一例として、にじさんじのバーチャルライバーたちを挙げることが出来ます。

そう判断できるのは彼らのスキルが一定していないことや、配信・動画での発言から知ることができる訳ですが彼ら独特の事情もありそうです。

 

にじさんじのバーチャルライバー(と公式で表現している)は、「いちから株式会社」が配信予定の新世代アニメプリ(VR配信ソフト)「にじさんじ」の宣伝販促兼テスターのような役割で四天王とは少し性格が異なります。

つまりキャラクタービジネスとアプリビジネスの二足のわらじを履いているわけです。

しかも元締めの「いちから株式会社」の方針はどちら寄りなのか、いまだ見えてこないままです。アプリの配信日はcoming soonのまま放置されています。

 

一番問題なのはおそらく公式ライバー、いわゆる中の人へのSNS教育が充分になされていなさそうな点です。

樋口楓のtwitter誤爆鈴鹿詩子の放送事故など上場企業なら株価に影響しそうな失敗を何度も重ねています。

彼らは会社・これから売り出すアプリのモデルでありオフィシャルな存在でひとたび失言や放送事故を起こせばキャラクターや世界観、ひいては会社存続の危機につながるはずですが、この点にじさんじ公式は未だに公式声優の個人的なスキルに頼り切りで対応がかなり甘いと言わざるを得ません。

月ノ美兎の爆発的なブームへのビジネス対応と1&2期生だけで18人居る公式ライバーの支援(どの程度行っているのか不明)、さらには3期以降の公式ライバーの展開準備もあって、2017年5月に起業したばかりの企業では少し荷が勝ちすぎているのかもしれません。

 

個人的には「にじさんじ」アプリが正式配信されて、企業の公式ではない「本物」の素人ライバーが誕生したとき、それが技術のないフツーの人がアイドルの夢を見られる、Vtuberになれる時代の到来だと思っていてかなり期待しているのですが。

 

流石にムーヴメントが始まったばかりということもあってまだまだ混沌の戦国時代的な感がありますが、織田信長が表舞台に登場した戦国後期のように、既存Vtuberへの人気の集中により徐々に勢力図が固まりつつあり、そういう意味では安土桃山時代に入りかけていると言えるかもしれません。

 

兎にも角にも、10年以上前初音ミクが登場したときと同じようなムーヴメントがいま再び起きていることに驚きと感動を覚えつつ、相応に年食った身は一抹の不安を感じているわけであります。

 

なお筆者は月ノ美兎の大ファンです。

以上、駄文長文失礼しました。